卵 -たまご- 「命はどこか」
立体の課題で何を使って何を表現してもいいということでいろいろ悩んで考えたが 卵の殻を使おうとふっと思いついたのでその方向でいろいろ考えた。
卵とは何か、鶏から生まれて温められてひよこが孵る。
私は卵を「命の部屋」と考えた。
命そのものが殻に守られているように思えたからだ。そして、そう考える私…すなわち人間。
私は人間の命についても考えた。
卵の殻にあたる部分は人間で言えば母体の子宮だろうか、そこが命の部屋にあたる。そして母体から抜け出し、育ち、(子孫を)残し、死んでいく。
単純化すれば人間の一生はこうだろう。
人はかなり昔から火葬を行なっている。
親しみ愛し別れたくないと思うその人を人はなぜ火にかけれるのか…。それは間違いなくそこ(遺体)に命と呼べるものがないからだろう。
その命の入っていた入れ物から命が無くなってしまったことを悲しみながら人は火葬を行うのだろう。
そう考えると肉体とは先述した「命の部屋」にあたるのではないだろうか。私はそう思えてならない。
そう考えて再び「卵」のことを考えてみる。
肉体も命の部屋と捉えるのならば卵の殻(命の部屋)の中にはやがて命の部屋(肉体)になるものが入っているのだ。となれば命はどこだろうか…たいそうな事を考えているように思うだろうが大したことは無い。だって答えなんて出ていないのだから疑問を堂々と語っているだけだ。
私はそんな疑問を表現するために卵の殻(命の部屋)に肉体(命の部屋)の果てを意味する灰を詰め込んだ作品を制作した。
命がどこにあるのかはこの作品に取り組んだ間ではわからなかったが、少なくともこの作品を見たのは間違いなく命達だ。
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